投稿日時 2018-11-27 01:09:42 投稿者 ぺとろ千歌 このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
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参十 唯摩の湯と春満の過去 唯摩(ゆいま)に来て、一週間が過ぎた。 瞬馬が中心となって長屋の改修を行い、それぞれが自由に使える部屋が出来たので、狭さはそれほど問題ではなくなった。 この慎ましくも荒々しい生活に慣れてきたものの、問題は風呂である。 一人分の身体が入る巨大な風呂桶を庭に置いて簡素な五右衛門風呂を作ったのだが、入浴前にはいつも大がかりな準備が要る。 「はー、毎度ながら、この釜風呂を焚くのはけったいな作業やでぇ……」 今日の風呂番は瞬馬である。 大量の水を運んで薪に火をつけ、竹筒を吹いて火加減を調整する。 「夜叉ちゃん、お風呂出来たでぇ」 「はーい」 縁側から夜叉姫が大判手折一枚巻いた姿で出てくると、先ほどまでの憂鬱悲嘆に暮れる顔は何処へ行ったのか、瞬馬は現金な笑顔になっている。 夜叉姫が湯の中に飛び込むと、水飛沫が撥ねた。 「夜叉ちゃん、火加減はどう?」 「うん、ちょうどいい」 その後ろで、ずぶ濡れになった静が背中を流す。 「なんで……今日はアイツ、休みなんだよ」 「調子が悪いって……あっ、ちょっと、痛い!」 「ゴ、ゴメン……」 茹で玉子のような白い肌を前にすると、不慣れな静の手に力が入る。おまけに、視界には二つの双丘がぷかりと湯に浮かんでいて、静は湯気の熱気と関係なく顔を赤くしていた。 「こら、あかんで。夜叉ちゃんを傷つけたから、今日も静が最後ブロや」 「なっ、なんでだよ! ヤだよ」 ※イラストは桃川コバト様の作品です(掲載許可をいただいています) |
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